Clubhouse は音声SNSと呼ばれ、米国で2020年5月に時価総額が1億ドル(107億円)の調達を発表したことで大きなニュースになりました。

日本では、1月23日にアプリがリリースされ、IT界隈のインフルエンサーを中心に広がっていき、1月末時時点ですでに10万人を突破していたらしい。2月4日時点では50万人だと試算されていて、初速の勢いがわかる。なお、Android 版はまだないので iOS 版だけの話です。

なにがそんなに注目を浴びるのか、自分なりにいくつかの観点で書いておきます。

  • 音声SNSというジャンル
  • 自動消滅するライブイベント
  • 出入り自由の参加方式

音声SNSというジャンル

音声メディアの代表格はラジオだと思いますが、2019年末くらいから「Voicy」や「stand.fm」「Anchor」などでポッドキャストをされる方も増えてきました。2020年6月には、Twitter でも音声ツイートできるようになりましたので、SNS + 音声という流れは、背景としてはあったようにおもいます。

また、この背景には AirPods Pro など高機能なイヤホンの登場(2020年10月)と、世界中がパンデミックによる巣ごもりやテレワークなど生活の変化があげられるとおもいます。このタイミングでリリースできたことが一番の勝因だとも言えます。

この Clubhouse は、音声での会話がメインという特長があります。それゆえ「音声SNS」と呼ばれているのですが、誤解を恐れずに言えば、誰かとの会話を仲間内にオープンにしているようなものです。テキストを入力することは原則できません。チャットや DM などの機能はありませんので、使い始めには他のチャットサービスでやりとりをしながら使うこともあります (笑)。

本音から言えば、UI の操作についても音声で完結できれば素晴らしかったのですが、そこまでは至っていません。

日本では「Dabel」も同じジャンルとして再び注目を浴びています(“声のソーシャル”は、ポストコロナ時代の新しいスタンダードになるか:井口尊仁 | WIRED.jp

自動消滅するライブイベント

さきほどあげたポッドキャストや音声ツイートは、収録してから配信する非同期型のコミュニケーションツールですが、Clubhouse はリアルタイムで同期型のコミュニケーションツールと言えます。つまりライブ配信です。

ライブ配信ですので、その配信が終われば終了です。ポイントは、アーカイブが残らない点にあります。この手法は Snapchat に始まり Instagram や TikTok、最近だと Twitter や LinkedIn にまで広がっています。これらは一人完結型のストーリーとして採用されていますが、Clubhouse の場合には最初から複数人が関わるイベントとして採用している点が面白いです。

一定時間が経てば消滅する。二度と参加することができない希少価値は、見る側に「FOMO: Fear of missing out (欠落への恐怖)」を引き起こすと言われています。そのため、たくさんフォローしないといけない、誰々さんが参加するイベントには参加しなければいけない、突発的に開催されるイベントを逃さないために常にアプリをチェックしないといけない、などなど。SNS 病とも言われています。

この希少性を活用したマーケティングはうまくできればコンテンツの希少価値を高めることができるが、下手をすれば心理的な反抗を生み逆効果になる場合もあります。

アーカイブが残らないことで、参加者のモラルを問題視する動きもあります。残らないのであれば何をしてもいいということにはならないよう利用規約がまとめられている点は評価できるとおもいます(Clubhouse コミュニティガイドラインの和訳)。また、参加者の身元保証人 (?) とも言える招待者が常にプロフィールページで開示されている点もその抑制に役立つとおもいます。

出入り自由の参加方式

リアルなイベントでは、司会者・登壇者・参加者・非参加者がいる、といった役割や関係性がありますが、これらをフリーダムかつフラットにした点も特長かとおもいます。つまり、突然発言(挙手)するのも自由だし Room に出入りするのも自由ということです。例えるなら、イベント会場にいた参加者が突然挙手することや、参加者を突然舞台にあげて登壇者の代わりにトークに参加してもらう、といった具合です。

「モデレーター ・スピーカー・リスナー」といった構造はあるものの、リスナーをスピーカーにあげることがモデレーターはできるので関係性はフラットにも見えます。ただ、その Room のモデレーターが複数人いてかつすでにつながりがある人どうしの場合、その中に入って対等に振る舞えるのかどうかはその人のコミュニケーション能力によるところが大きいといえます。

「聴きながら」ができる点を特長にあげている記事もたまに見かけますが、それはリスナーとしてのみの参加方法になるので、Clubhouse の特長を全体でとらえている話ではないようにおもいます。

個人的には、モデレーターを司会者、スピーカーはレギュラー、リスナーを雛壇芸人と見ているので、雛壇芸人としての振る舞いが得意であれば、どの Room でも分け入ることができるとおもいます。つまり、突然振られれば答えられる、いいコメントを残せる、といった具合です。

したがって、モデレーターとして活用したい人と、リスナーでいい人とで二極化するでしょう。モデレーターは他メディアでも発信していたりするのでその補完ツールとして活用するでしょうし。定常的な顧客接点の構築のために、配信時間を決めたり、告知を他メディアでするなどして、リスナーの関心を募ります。

リスナーはそうした他メディアで見ている人をこちらでもフォローすることになるので、その関係性はきっと変わらないでしょう。つまり、モデレーターとリスナーの比率は他メディアと変わらないと言えます。

逆に言うと、すでに関係性のある人どうしの会話はこのツールを使うことでさらに親密に、さらに強固な関係性を築ける可能性があります。

偏見と雑感

Twitterに偏見と考察というか雑感を書いたので、こちらでも補足しておきます。

特長は、以下4点―

  • 1人では成立しない構造
  • 無料で裏話が聞ける特典
  • 発言が残らない安心感
  • 同期かつフラットな関係性

まず、リアルタイムにその Room に参加しなければ会話は成立しません。次に、他人が開催している Room に出入りが自由なので、著名人や有名人の話を無料で聞くことができます。発言が残らないことで、オフレコの話や裏話が聞けるというメリットがあります。最後に、関係性がスピーカー同士であれば Room 上では対等になれるため、その機会を得るチャンスだと見ることもできます。

そしてこれは「野次馬精神の増長になるのではないか」と考えたのが雑感です (笑)。

そんなことを書いている最中、言論の自由を抑制されているといわれる中国では Clubhouse の利用停止が囁かれています。

さて、今後どうなるのでしょうか。

※この記事は、個人ブログからの転載です。

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